フェルメールの作品8点が日本に集結。日本で過去最大規模となるフェルメール展が2018年10月から上野の森美術館にて開幕決定

ミステリアス、そして静謐な光で多くの美術ファンを魅了するヨハネス・フェルメール(1632〜75)。寡作の画家として知られ、現存する作品はわずか35点とも言われている。その貴重な作品が、2018年10月に日本にまとめてやってくることが決定した。「産経新聞創刊85周年記念 フジテレビ開局60周年記念事業 フェルメール展」だ。10月に上野の森美術館で開幕し、翌2019年に2月には大阪市立美術館に巡回する。2017年11月現在、出品が正式に決定しているフェルメール作品は4点。今後、作品点数は増え、2008年に東京都美術館で開催されたフェルメール展の出品点数7点を超す8作品が日本に集まる予定となっている。現在、出品が正式に決定しているのは以下4作品。同展の日本側監修者・千足伸之 成城大学名誉教授、広島県立美術館長のコメントともに紹介する。

《牛乳を注ぐ女》1660年頃 油彩、キャンバス 45.5×41cm アムステルダム国立美術館

牛乳をつぐ当たり前の姿だが、市井の彼女のたたずまいが絵となると気品というか、静かなたたずまいが見る人をうつ。フェルメールブルー、印象派とは違い、落ち着いた深みのある色彩が見られる。パンの描き方、質感、手触りが絵にとっては大事。そういうものをフェルメールは非常に丁寧に描いている。風俗画。当時の民衆の生活を知るという意味でも、フェルメールの作品は応えている。

《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1656年頃 油彩、キャンバス 158.5×141.5cm スコットランド・ナショナル・ギャラリー

フェルメールにしては珍しい宗教画。いわゆるフェルメールの作品とはやや異なり、初期の頃の修行期間の様が見える。マリアに向かってキリストが言葉をのべる。マルタはパンでもてなそうとするが、大事なのは自分の言葉に耳を傾けることだとキリストは語るという聖書の場面。マルタが真ん中の一番高いところにいて、キリストがマルタを見上げる構図。流れとしても非常によくできている。全体として三角構図。ルネサンスの画家がよくやったが、安定感のある構図。フェルメールも取り入れている。フェルメールの場合、窓があるかどうかが重要。この作品には窓はないが、それでもどこかから光が入ってくる。ここではマルタの白い衣服が光を感じさせる。

《手紙を書く婦人と召使い》1670ー1671年頃 油彩、キャンバス 72.2×59.7cm アイルランド・ナショナル・ギャラリー

オランダは当時、ヨーロッパいちの富める国で、教育レベルが高く、市民の識字率も高かった。この作品ではフェルメールを特徴づける光、窓からの光がよく描かれている。書くことに集中する女性。その後ろに立つメイドが、所在なげに外の光景を見ている感じがよく出ている。微妙な光の描き分けも見所。画中画も効果的に使われている。画面下方には手紙を封印するのに使用した赤い蠟があって、本のようなものが落ちている。中身はわからないが、当時のオランダでは手紙の指南書が出ていたので、そういった類いではないか。床は格子状で、オランダの当時の流行を示している。

《ぶどう酒のグラス》1661ー1662年頃 油彩、キャンバス 67.7×79.6cm ベルリン国立美術館 日本初公開

日本初公開。フェルメールの傑作のひとつ。男と女、ワイングラス。男性と女性を描いた絵は多い。ここでも中心に白いワインボトルがあって、ここが構図の中心になっていて、男性が酒を女性に勧める動きが画面の中に見える。男女の機微を描いた絵というような小説的な興味もひかれる。ステンドグラスの窓には馬具が描かれているが、絵に教訓的なものを含めることが当時のオランダ絵画にはあった。一種の人生訓。手綱を引き締める、お酒もほどほどにというニュアンスをこめた可能性もあると言える。光の微妙なニュアンス、他の画家とは異なるフェルメールだからこその味わいが出ている。

なお、今回の展覧会の東京展では日本では適用が少ない「日時指定入場制」を採用。昨今の展覧会のように炎天下や雨のなか長時間待つこともなく、展覧会を楽しめる予定。大阪展のみに出展される作品もあるので、両会場ともに訪れたい。

産経新聞創刊85周年記念 フジテレビ開局60周年記念事業

フェルメール展

[東京展]

会期:2018年10月5日[金]- 2019年2月3日[日]

会場:上野の森美術館

主催:産経新聞社、フジテレビジョン、上野の森美術館

[大阪展]

会期:2019年2月16日[土]- 2019年5月12日[日]

会場:大阪市立美術館

主催:大阪市立美術館、産経新聞社、関西テレビ放送

総合監修:アーサー・K.ウィーロックJr.(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)

日本側監修:千足伸行(成城大学名誉教授、広島県立美術館長)

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