19世紀末パリの前衛グループ・ナビ派が描いた子ども達「画家が見た子ども展」
モーリス・ドニ「赤いエプロンドレスを着た子ども」1897年 個人蔵
ビジネスの中心地・丸の内に位置する三菱一号館美術館が今年、開館10周年を迎える。それを記念し、19世紀末パリで活躍した前衛芸術家グループ「ナビ派」を中心とした画家たちが描いた「子ども」をテーマにした「画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュィヤール、ドニ、ヴァロットン」が2月15日からスタートする。今回はフランス、ル・カネにあるボナール美術館の全面協力をへて、国内外の美術館と同館が所蔵するボナール、ヴァロットン、ドニ、ヴュイヤールといったナビ派を中心に、ゴーギャンやゴッホ、油彩を含め約100点を展示する。
フィンセント・ファン・ゴッホ「マルセル・ルーランの肖像」1888年 ファン・ゴッホ美術館蔵 Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation
西洋美術史の中で、子どもは幼子キリストや天使といった宗教画やブリューゲルといったフランドル系の風俗画をのぞくと、主要なモチーフとしては描かれることが少なかった。それが18世紀、19世紀になると、バロックを代表する画家の一人ベラスケスや、ロココの画家シャルダンらによって無垢な子どもたちの姿が捉えられるようになっていく。それまで子どもは単なる小さな大人と考えられていたものが、大人とは異なる純粋で崇高な存在として位置づけるようになった近代の「子ども観」が大きく影響している。
こうした流れの中で、親密さや素朴さを追求していたナビ派にとって、子どもというモチーフは身近にいながら芸術のインスピレーションを与えてくれる存在として数多く描かれるようになった。ナビ派によって描かれた子どもたちは、時に愛らしく、時に大人たちの世界をどこか冷ややかに眺めているかのようといった、様々な表情を見せてくれる。
フェリックス・ヴァロットン「公園、夕暮れ」1895年 三菱一号館美術館蔵
エドゥアール・ヴュイヤール「赤いスカーフの子ども」1891年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 National Gallery of Art, Washington, Ailsa Mellon Bruce Collection, 1970.17.90
モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル「ブレのベルナールとロジェ」1883年 オルセー美術館蔵 Photo © Musée d'Orsay, Dist. RMNーGrand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF
フェリックス・ヴァロットン《女の子たち》1893年 木版/紙 三菱一号館美術館蔵
展覧会Information
会期:2020年2月15日(土)~ 6月7日(日)
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、4/6と会期最終週平日は21:00まで)
休館日:月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合、開館記念日4/6、会期最終週6/1と、トークフリーデーの3/30、4/27、5/25は開館)
会場:三菱一号館美術館
入館料・当日券:一般 : 1,700円 高校・大学生 : 1,000円 小・中学生 : 無料
※障がい者手帳をお持ちの方は半額、付添の方1名まで無料
主催:三菱一号館美術館、ボナール美術館(フランス、ル・カネ)、日本経済新聞社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
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