• 庄司美樹

日本美術史上ワン&オンリー 国宝「一遍聖絵」全12巻が京都国立博物館の知心館で一挙公開に


鎌倉時代に一遍上人が開いた時宗。宗祖一遍は誰もが念仏をとなえることで往生を遂げられると説き、日本各地で布教に努めた。その後、二祖である真教は、時宗を教団として整備し、大きく発展させた。 来年4月に京都国立博物館の知心館では、2019年に真教の700年遠忌を迎えるのを記念して特別展 時宗二祖上人 七百年御遠忌記念「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」が開催されることになった。一遍の生涯を描いた国宝「一遍聖絵」全12巻が一堂に会する貴重な機会であり、歴代祖師の肖像画や肖像彫刻、時宗の名宝などが展示される。

10月23日に都内の大正大学で行われた記者発表で、京都国立博物館の佐々木丞平館長は「京都でこれほど大規模な時宗の展覧会は初めて。一遍聖絵は全12巻のうち半分を奈良国立博物館、半分を当館に寄託してもらっているが、一挙に公開するのは、関西では17年ぶりのこととなる。また、当館では近年、京都、滋賀などで調査を続けているが、それにより新発見のものも出て来ているので、そういったものも含めて名宝の公開となる」と語った。

展覧会は全5章で構成され、出品点数は134件(国宝3件、重文34件、重要美術品2件)が予定されている。

[第1章:浄土教から時宗へ]

一遍上人は法然の曾孫弟子にあたることから、法然らが説いた浄土教から時宗への繋がりに焦点をあてる。片肌を脱いだ珍しい《阿弥陀如来立像》(知恩院)や、欲望の河をの間の細い道をひたすら阿弥陀にすがることで浄土へゆけるという教えを象徴した《二河白道図》(萬福寺)など。

[第2章:時宗の教え 一遍から真教へ]

一遍上人の入滅後に時宗を教団としてまとめ整備した二祖・真教にまつわる展示。厳しい遊行の様を連想させる《真教上人像》(高宮寺)や晩年の筆と考えられる《真教上人書状》(長楽寺)など。また真教の生涯を描いた絵巻は数多く模本が残されているが、オリジナルは残っていないと言われていた。近年の研究で無いと言われてきたオリジナルから切り取られたものではないかと考えられるようになった大和文華館が所蔵する《遊行上人縁起絵断簡》が展示されるのも見所のひとつ。

[第3章:国宝一遍聖絵の世界]

前期、後期との2回の展示替えで全15巻すべてを展示。

《一遍聖絵》は一遍の弟子である聖戒が著述し、謎の絵師・円伊が絵を描いている。絵巻としては珍しく絹に描かれ、やまと絵の優美で繊細な表現と漢画のダイナミックで鋭い筆致の表現が組み合わさった、当時としては他に類のないもの。加えて上人本人だけでなく、熱心に布教に耳を傾ける民衆の顔や仕草、表情が非常に細かく表現されている。

[第4章:歴代上人と遊行]

真教上人と言われる二つの木彫像がそろって展示に。長楽寺のものは厳しい遊行を連想させる痩せた姿の若々しいもの。もう一点は病の跡もわかるように克明に作られた蓮台寺のもの。若かりし頃の姿と、年老いてからの姿ということで考えられているが、蓮台寺のものは別の人物の可能性も言われている。

[第5章:時宗の道場とその名宝]

《洛中洛外図屏風(舟木本)》(東京国立博物館)は会期最後の二週間のみの展示。画面には五条大橋や七条道場が描かれている。当時、尼は扇作りを生業にしていたが、扇を手にした人物の姿も見られる。京都国立博物館では京都、滋賀を中心に調査を続けており、その結果、新たな作品も発見された。《阿弥陀三尊像》(浄信寺)などそうした新発見のものを含め、時宗の道場に伝えられた名宝を紹介。

特別展 時宗二祖上人 七百年御遠忌記念「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」

会期:2019年4月13日(土)~6月9日(日) 会場:京都国立博物館 平成知新館 開館時間:9:30~18:00まで、金・土曜日は20:00まで (入館は閉館の30分前まで) 休館日:月曜日(ただし、4月29日と5月6日は開館)、5月7日(火) 主催:京都国立博物館、朝日新聞社、時宗、時宗総本山清光寺(遊行寺) 観覧料:一般1500円、大学生1200円、高校生900円 ※他に団体・前売料金等あり

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